※この記事は、映画の内容について若干のネタバレを含みます。ネタバレを好まない方は映画を見た後お読みください。
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観ました。
『君の名は。』の影響からか、普段アニメを見ない層も多く鑑賞したようで、賛否両論という感じですね。
シャフト+新房監督+神前暁≒”化物語”
もともとシャフト感全開の作品という前評判を聞いていましたが、実際見てみるとシャフト作品以外の何者でもないなという感じでした。
もう「化物語」かよとツッコミたくなるくらい。
例えば、キャラクター。
ヒロインのなずなは最後まで「あれ?戦場ヶ原じゃない???」という感じでした。
描写。
特に、学校の構造(異常に長い螺旋階段と全面ガラス張りの壁)はまんま化物語。
カット。
細切れにあらゆる角度でのカットを挿入するのもシャフト感がすごいです。
ただ、目新しい表現もあります。
例えば、プールでの描写。
典道が全身総毛立たせるシーンがありますが、これはジブリ的ですね。
新しい表現にも挑戦しているようです。
内容はよくあるタイムリープもの
本作はよくあるタイムリープものです。
もともとは、テレビドラマが原作のようです。
ただ、ドラマ版ではタイムリープは補助的な役割だったようです。
タイムリープ+恋愛青春 アニメ映画といえば、『時をかける少女』ですね。
直近で爆発的ヒットとなった『君の名は。』もタイムリープものに数えていいと思います(どちらかというと男女入れ替わりがメインですが)。
日本人は時間移動が大好きですね。
幼い頃からドラえもんを見て、タイムマシンに憧れているからでしょうか?
ここにも現れる川村元気氏
本作の企画プロデュースは川村元気氏です。
「また出たか。」という感じです。
最近ヒット作の多くに名前を見かけます。
前述の『君の名は。』ヒットの立役者もそう。
一方で、このプロデューサーというポジションは映画製作においてどのような役割なのかいまいちピンときていません…
ただ、『君の名は。』のヒットには大きな貢献をしたはずです。
新海誠監督は、元々『秒速5センチメートル』等の映像美が素晴らしい作品で知られてはいましたが、詩的で比較的淡々と進むストーリーからか、決して一般的に知られた監督ではありませんでした。
その新海監督の作品において、初めてのメガヒット作品に川村氏が関与していたことは、偶然ではないと思います。
ラストシーンの解釈
ラストシーン。『君の名は。』のようなわかりやすいラストを期待していた人たちの間で議論が紛糾しているようですね。
ラストシーンでは、点呼のシーンでなずなと典道が教室におらず、祐介が一瞬映ったあと風車の下で風に揺れるナズナの花が描かれて終わります。
これはどういう意味なのか?
その直前で、なずなと典道は何度もやり直した最後の世界の中、ついに2人で花火を見ることに成功します。
ポイントは、「点呼でなずなは呼ばれず、典道は呼ばれたこと」「典道の欠席を先生が把握していなかったこと」。
なずなは転校が決まっていたので、名前を呼ばれないのも違和感はありません。
そうすると典道は?
以下のようなストーリーが考えられます。
①典道もなずなを追いかけて転校
②なずな転校のショックで休み
③なずなの転校を阻止することができ、2人で幸せを噛みしめている
④平行世界に残ったまま(死亡?)
まず①として、転校していったなずなを典道が追いかけていったパターン。次に、②なずなの転校を止められなかったことでショックの欠席。③は、なずなの転校を阻止し、2人で遊んでいる。④は平行世界に残ったまま元の時間軸では失踪してしまったというパターン。
特に④に関して、一部では「典道死亡説」も流れているようです。
ここで、点呼のことを考えると、「なずなはいない前提で典道はいる前提」であることがわかります。そうすると、①と③はそれぞれ可能性が低いように思います。
②はどうでしょうか?仮に、 その直前でなずなと結ばれた幸せを噛み締めた典道が、すでに決まっている転校によりこのような行動をとることには疑問が残ります。また、2人きりの世界に行き着いた際には「今日だけは2人で」と願っていました(と記憶しています)。
この点からもその後の運命に対する覚悟はあったのではないかと思います。
さて、④です。個人的には'典道が死んでいる'というのは極論だと思いますが、平行世界に残ったままということはありうるかなと思います。
しかし、そもそも平行世界に行くことで元々の世界で典道はいなくなるのでしょうか?
いずれについても疑問が残ってしまいました。
ここでもう一つのポイントが「最後のシーンがどの世界での時間軸なのか」です。
これは元々の(なずなが祐介を選んだ)世界で良いのではないでしょうか?
最後のシーンは風車とナズナでした。ここは元々の世界でなずなの転校という告白を受けた場所です。典道がなずなの転校を知るということが、タイムリープが始まる一つのきっかけであり、"スタート地点"とも言えます。
また、初めて不思議な球を使ってタイムリープした際には、風車が止まり逆回転することで時間の逆転を表現していました。ラストシーンでは、風車が時計回りに回っていることから、時間が通常通り流れていると考えられます。
結論は出ませんが、仮定として最終シーンが元々の世界だとすると、
②この場合、タイムリープは意識の分岐のようなもので、元々の世界も時間が進んでいるという前提です。
単純にこの世界では、典道はなずなの転校を止められていません。また、そもそも選ばれたのは祐介です。故に、なずな転校のショックと祐介に対する失望感から学校を休んでいる可能性があります。
④典道は、いずれかの世界に1人しか存在しえない、という前提に立ちます。
同じく、元々の世界で典道はなずなを引き留められていません。また、タイムリープのあといずれかのタイミングで失踪(ないしは死亡)している可能性があります。
なずなが球を入手したのが、亡くなった父の遺体付近からだったことも踏まえると、この前提ではなずなの父親もタイムリープした可能性が高いです。
結局いろいろ考えてみましたが、明確な結論は出ませんでした…。
皆さんも鑑賞して考えてみてほしいです。

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