今日は何読もう。何観よう。

旅と読書と美味しいものと。

【映画】『グレイテスト・ショーマン』ペテン師の偽善はマイノリティの善となる

※この記事は、映画の内容について若干のネタバレを含みます。ネタバレを好まない方は映画を見た後お読みください。

グレイテスト・ショーマン』見てきました。

ミュージカル調の音楽多めの作品なのでDOLBY ATMOSで見ると臨場感がマシマシでした。

www.foxmovies-jp.com

 

 

 

ラ・ラ・ランド』の音楽チーム担当で実在の人物を映画化

 本作の主人公P.T.バーナムは実在した人物です。

f:id:hiroki0412:20180218201400p:plain

P・T・バーナムは、コネチカット州ベサルで生まれた。彼の父は、宿屋兼商店の主人だった。

バーナムは、商店主として出発したが、当時アメリカで猖獗を極めていた宝くじブームに浮かれ、事業に失敗する。

その後、彼は1829年にダンバリィにおいて週間新聞『ザ・ヘラルド・オブ・フリーダム』を創刊した。この新聞での数件の名誉毀損訴訟及び一件の訴追を受けた結果、彼は収監されることとなった。

その後1834年ニューヨーク市に移り住み、1835年に、ジョージ・ワシントンの元乳母で160歳を超えているとの評判があった黒人奴隷の女性、ジョイス・ヘス(Joice Heth)を買い取って見世物にすることで、興行師としての人生を始めた。

この女性自身の存在とちょっとした付け足しをもとに、P・T・バーナムは、非常に巧妙な宣伝を行って、1836年のジョイス・ヘスの死亡(その際、彼女の年齢は70歳を超えないことが判った)後の1839年までアメリカにおける巡業を成功させた。

その後一時期不振だったが、1841年に、ニューヨーク市にあった「スカダーのアメリカ博物館」を買い取り、これに相当の補強をして「バーナムのアメリカ博物館」(Barnum's American Museum)と名付け、ここを拠点に国内で最も人気がある興行の一つにした。

1842年には、「親指トム将軍」 ("General Tom Thumb" ) として有名な矮人・チャールズ・ストラットンの見世物で大当たりをとった。インディアンのダンス団「フー・フム・ミー」を作って彼らに伝統的なダンスを踊らせ、これも評判となった。

1844年から45年にかけて、バーナムは、「親指トム将軍」を連れてヨーロッパ巡業を行ない、ヴィクトリア女王にも面会した。

彼が立てた注目すべき企画の一例としては、スウェーデンの女性歌手・ジェニー・リンドと、米国において一晩1000ドルで150公演行う(費用は全額興行主もち)と云う契約をしたことがあげられる。この巡業は1850年に始まった。

バーナムは、1855年にいったん興行界から引退したが、債権支払いを迫られたため、1857年に興行師・展示館経営者としての以前の人生を再開した。

1871年には、彼はニューヨーク市ブルックリンの「バーナムのアメリカ博物館」で、サーカス・動物園・フリークス・蝋人形展示をない交ぜにしたものを巡業させる「地上最大のショウ」を設立した。

1872年、サーカス業界初の興業列車を立ち上げる。サーカス団の規模拡大に伴い、馬車での移動では全米中の興行が困難となり、その解決策として発案。以来このサーカス列車は、他のサーカス団でも採用された。

1881年、彼は、ジェームズ・ベイリーが経営していた「クーパー・アンド・ベイリー・サーカス」と合併して、「バーナム・アンド・ベイリー・サーカス」とし、世界中を巡業した。このサーカスの一番の呼び物は、バーナムがロンドン動物園から買い取ったアフリカ象のジャンボだった。

P・T・バーナムの死後、1909年(あるいは、1907年? )に、彼のサーカスはリングリング兄弟 (Ringling Brothers) に売却され、リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスとなった。

出典:wikipedia

事業家としては、かなりすごい人物のようですが、それに伴いかなり批判的な評価も多いようですね…。

 

ちなみに、心理学のバーナム効果は、このバーナム氏からきているとのこと。

バーナム効果(バーナムこうか、英: Barnum effect)とは、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分だけに当てはまる性格なものだと捉えてしまう心理学の現象。

1956年にアメリカ合衆国の心理学者、ポール・ミール(P.E.Meehl)が、興行師 P・T・バーナムの "we've got something for everyone"(誰にでも当てはまる要点というものがある)という言葉に因んで名付けた。アメリカの心理学者バートラム・フォア(en:Bertram Forer)の名をとってフォアラー効果(Forer effect)ともいう。被験者に何らかの心理検査を実施し、その検査結果を無視して事前に被験者とは無関係に用意した「あなたはロマンチストな面を持っています」「あなたは快活に振舞っていても心の中で不安を抱えている事があります」といった診断を被験者に与えた場合、被験者の多くが自分の診断は適切なものだと感じてしまうが、この現象を「バーナム効果」と呼んでいる。

出典:wikipedia

 

典型的なアメリカン・ドリーム

 本作は、P.T.バーナムの成功→挫折→そして復活という人生物語のミュージカル映画です。内容としては、典型的なアメリカン・ドリームという感じ。

仕立屋(((実際のバーナムは、宿屋兼商店)))の息子という、それほど身分の高くない環境から、アイディアでのし上がりついにはイギリスの女王陛下への謁見を実現するまでに成功。

それに対して、

しかし、ショーの建物での火事で全財産を失い、再びがけっぷちに立たされます。

そこから、パートナーや出演者たちの支援を得て再び復活。

 この、

不遇の環境→成功→挫折(→復活)

は典型的なアメリカン・ドリームの姿を表しています。

そこで思い出したのは、『華麗なるギャツビー』でした。

eiga.com

ギャツビーの場合は、大成功ののち転落が待ち受けています*1

ゴールドラッシュから続く、アメリカ人の野心的な夢物語には、成功と失敗の2つのエンディングが想定されているようです。

 

いずれにしても、アメリカ人は日本人が考える人生の幸せよりも、ボラティリティが高い人生を好むということでしょう。

 

まとめ:人に"居場所を与える"ということ、善悪の価値基準

あくまでバーナムが主役ですが、もう1つのテーマに、"サーカスの役者として登場するマイノリティたち"がもう1つのテーマになっています。

ひげ女や大男、全身入れ墨男など…周囲の人間と異なることで不幸な境遇に追いやられていたマイノリティたちは、バーナムのサーカスに参加することで、初めて自分たちの”居場所”を見つけます。

 

バーナムは自分の金もうけのためにサーカスを始めたのかもしれません。

しかし劇中でも彼女たち自身が主張するように彼女たちマイノリティにとっては、自分と境遇を同じくする仲間とのコミュニティを得つつ、稼ぐ方法を与えられたということは、バーナムが思う以上に非常に大きな意味があったのです。

 

上述の通り、バーナムに対してはかなりの批判的な評価が多く、劇中でも”ペテン師”などと評価される場面があります。特に、マイノリティたちを見世物としてサーカスを開くというアイディアに関しては、当時以上に現代では抵抗感があるでしょう。

"マイノリティの人権は?" ”見世物にして利益を得るバーナムは悪では?”

 

しかし、当人たち自身の反応の通り、実はこうしたバーナムの利己的な行動がマイノリティの社会進出に一役買っていた可能性もあるのです。

現代では、人権の問題で同様の活動はあり得ず、また、そもそもの社会的なセーフティネットが機能することで社会から完全に排除される層というのは少なくなっているかもしれません。

それでも、すべての人に保障を与えることができているとは限らず、そもそも保障することが正しいのかどうかさえ分かりません。それは、周囲の人間のエゴに過ぎないのかもしれないのです。

 

本作は、成功物語という、非常に夢にあふれたストーリーの陰で、われわれの善悪の判断基準に問いかけてきます。

 

※補足:フリークスサーカスを舞台にした発禁作品『フリークス』

マイノリティ役者のサーカスを描いた作品としては、もう1作『フリークス』があります。

こちらは、よりグロテスクな作品。コケにされたマイノリティたちが復讐を実行しますがかなり強烈です。

おそらく2度と同じような作品が作られることはないでしょう。

AmazonでDVDは販売されているので興味のある方は見てみてください。

フリークス [DVD]

フリークス [DVD]

 

 

matome.naver.jp

最低映画館〜フリークス

*1:『ウルフオブウォールストリート』といい、ディカプリオは野心家の作品が似合いますが、いずれも破滅して終わります。