※この記事は、映画の内容について若干のネタバレを含みます。ネタバレを好まない方は映画を見た後お読みください。
『羊と鋼の森』見てきました。原作大好き。
映画見るために、原作読み直して挑みました。
原作はぜひ読んでほしい
原作は、2016年の本屋大賞受賞作。
『火花』や『君の膵臓を食べたい』などなかなか豊作だった年なので非常に評価が高いものと思います。
これ、映画感想記事で書くのもなんなんですが、
小説(原作)をぜひ読んでほしい
です。
なんなら映画のほうはもう見なくてもいいです。
小説は非常に素晴らしい。音楽の、そしてピアノの”音”ができるイメージを非常にきれいな表現で描いています。
視覚的ではない描写をいかに文章で表現するのか?そして、そこにどれだけの豊かさを持たせられるのか?そこに小説家の力量が出てくるように思います。
類似の世界観で、天才ピアニスト達を描いた恩田陸『蜜蜂と遠雷』もオススメ。
また山崎賢人か、と(山崎賢人は悪くない)
もうこれ諦めた部分もあるんですが…
また山崎賢人か、と…
別に、彼自身が悪いとは思わないんですが…(演技がうまいとも思わない)
あらゆる作品の主演を演じすぎて、山崎賢人でしかない。役よりも俳優の色が強すぎる。キャスティングどうにかならないんでしょうか?
どうしても、若手俳優で、イケメンで、それなりに演技ができて、となると候補が絞られるのは分かるんですが、もうちょっと層が増えないですかね…
本作に関しては、脇を固める俳優陣に助けられた印象。
特に、吉行和子(外村のおばあちゃん役)が一番いい演技。セリフ一切ないけど。
出展:公式HP
まとめ:良い文章を良い映像にするのは難しい
本作を観て非常に感じたのは、
「良い文章を良い映像に表現することの難しさ」
です。
そもそも、表現方法が全く異なるコンテンツなので当然といえば当然なんですが。
原作で、読者のイメージに訴えかけてくる文章(調律の森に例える描写や実家での弟との森に関するやり取り)が映像化にあたり味気ないものになっていたり、そもそもカットされていたりしました。
この表現方法の違いを無視した原作選びや作品作りは、近年ますます増加しているクロスコンテンツものや売れた原作の映画化が必ずしも良い作品を生み出さない根源的な部分だと思います。収益的には読みやすいんでしょうね。あと、マンガとかだとまた別かも。
音楽は久石譲が担当しているほか、自然の音や美しい光景など、その点文章だけでは補いきれない表現を可能にするのが映画だというのも事実です。
そういった表現の不自由さを前提として作られた小説としての素晴らしさと、表現力が十分に備わったコンテンツとしての映画に切り替えた際の素晴らしさは、全く別物として考えないといけないようです。
※補足
原作や映画を見て、ピアノ調律師になりたくなった人のために。