今回は、証券化・流動化を勉強している(これから始める)皆様に自分が読んだ書籍の中で、よかったものとあまり参考にならなかったものを紹介します(この記事を読んだご専門の方で、もっと良い本をご存知の方にはぜひご教示いただけると幸いです)。
参考になった書籍
ストラクチャード・ファイナンス EXCELによるキャッシュ・フロー・モデリング
- 作者: キース・A・オールマン,桶本賢一,佐伯一郎
- 出版社/メーカー: シグマベイスキャピタル
- 発売日: 2018/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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モデリングの参考書自体がそもそも少ない中、アセットファイナンス関連のモデリングに関して記載されている書籍は皆無でした。
本書は、ストラクチャードファイナンス関連に所属の方はぜひ一度ご覧になっていただきたい本です。
おそらく最も読み返してます。「流動化・証券化」は、各資産によってスキームの構築が異なってきますが、スキーム共通の部分(真正譲渡とは何かetc)については本書がもっともまとまりがよいです。
少々古い本ではありますが、各資産(オートローンやカード債権など)ごとのスキーム例があるので、結構重宝します。
さらに古い本。ただ、大抵の本の参考文献で出てくる基本書なので読んでみる価値はあります。
本書は、入門としてはあまりお勧めできない(自分は、勉強しはじめに読んだが意味が全く分からなかった)です。実務上の論点が凝縮されているので、お仕事で困ったときに開くものかなと。
流動化・証券化の全体像としては、上2つで十分。余裕があれば、大垣さんのものも読んでみるといいという感じ。永野さんの「実践~」は、実際に案件に触れているうちに、理解が深まる本だと思います(ただし、検索性が高くない)。
あまり役に立たなかった本
実践と書かれていますが、この本で何か実践できるようにはなりそうもないです。証券化に関する背景知識は学べます。
「証券化のすべて」と言っているわりにとても偏った内容(ほぼRMBSについて)。各債権の特性を知りたい場合は、みずほ信託編を読むべき。
アセットファイナンス実用ガイド―オフバランス経営革新と資金調達
- 作者: 志村和次郎,ニュービジネスブレイン機構
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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他書とは趣が異なり、売掛債権の流動化のメリットを事業会社視点から書いたもの。誤字が非常に多く、中身もスカスカなので、売掛債権流動化について知りたい方は、経産省の資料を読んだ方がいいです。
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/ji04_07_13.pdf
自分自身、この分野の書籍をあさっている中での現状の感想です。皆様のご参考になれば。
※追記(2017/10/14,2019/1/31,2021/1/31,2022/3/1)
その後、業務が変わってしまったので、最近は新しい書籍を探していませんが、以下追記。
1冊目に紹介した西村あさひの本は新版がでました。
ほとんど死滅してしまっているWBS(事業の証券化)について解説があるという意味でよい本。ソフトバンクのボーダフォン買収時のスキームとか面白いです。
※2020年末にスパイバーが「事業価値証券化」というスキームで250億円を調達しています。詳細なストラクチャリングは不明ですが、上記WBSに近いスキームを利用していると想像しています。
※スパイバーの件は、当社の有する特許等の知的財産権を裏付け資産とした証券化商品による調達のようです。
CDOのみに焦点を当てた本です。リーマンの元凶と言っても気もしますが、最近また組成され始めているので(CDOについては別で書きたい)読む価値あるかも。CDOを専門に書いた本はこれ以外見たことありません。
投資目線で証券化を考えると、オルタナティブ投資に分類されます。
投資戦略系の本を読むと運用ポートフォリオに置けるリスク評価なんかは詳しく書いてあります。また、CMA、CFAのテキストも一部コメントがあります。