最後にこれだけは言わせて欲しい

ダラダラ出来なくなった金融マンの遺言

就活では「何者」にもなれない

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『何者』が映画化するみたいですね。10/15上映。
今の職場での将来に不安を覚えつつ、「何者」でもないので大した転職先がない自分にはタイムリーです。
『何者』の主要キャラたちの背景やその後を描く『何様』が出たのを機に、小説を再読すると色々考えました。新卒時代に読んだ時はそんなに響かなかったんですがね。

「何者」にでもなれるSNS

『何者』で描かれるのは、今時の大学生です。Twitterでつぶやき、FacebookでいいねしLINEで連絡を取り合うそんな人たちです。
彼らにとってSNSはコミュケーションの手段でありつつ、「別の自分」を形成するツールでもあります(自分もそうです。このはてブに連動しているTwitterはリアルの友人がほとんど含まれないサブアカウントです。)。
SNSは現代の若者(自分含め)にとって「ペルソナ*1」的な意味があります。twitterの本垢では思ったことをつぶやき、裏垢でリアルの友人には言えない毒を吐く。楽しいイベントはFacebook に流していいねをもらう。そうやって誰に対してどういう自分を見せるのかを考えながら生きているということです。

「就活」では「何者」にもなれない

就職活動は、自分の持つ仮面を付け替え役割を演じて、新たな仮面を得る活動なんですよね。いかにこれまでの人生で舞台の主人公として生きてきたかを説明し、次の舞台の主人公の座を勝ち取る競争が就活です。
就活中には、ありとあらゆる部活/サークルの部長やリーダーが部屋中にあふれます。グループ面接なんかでもほんとに部長ばっかりで笑っちゃいました。(自分はリアルに1サークルの1グループの副リーダーだと話してました。課長みたいな感じです。)
まさに「理香」のように、肩書きに埋もれている人たちがたくさんいます。すごい人たちだと思うんですが、覚えてきた定型文で功績を語っても彼らについてはなにもわからないですよね。
いかにもってる仮面がきらびやかでも、彼らが求めているのは役者であり知りたいのは役者の中身ですから。

大企業か?ベンチャーか?

多くの就活生は、自分たちの知っている大企業に行きたいと考えます。
これは当然のことで、ヨーイドンで始まる説明会などにいくら参加しても、自分たちの知らない業界のニッチな優良企業なんて探し出すのは困難です。
結果、「大企業内定=勝者」という無意味な指標が形成されます。
逆に「大企業で組織の歯車なんてクソ!最初からチャレンジしたい!」「他のやつと違う自分カッケー!」タイプの人はベンチャー企業を選びます。
どの選択が正しくてどの選択が間違ってるとは言いません。ただ、規模で選ぶのだけは間違っていると思います。「こういうことをやりたい=だからこの業界」ならわかりますが、片っ端から大企業を受けているような人たちもたくさんいます。正直言って節操がないし、内定を取ることを目的化してしまっていると思います。

就職して思ったこと

転職活動をしている自分が思うのは、どんな会社に入ってもギャップはあるということです。だからこそ自分の行動原理を明確化しておかなければ、後で後悔することになります。

大きな仕事をしたくて大企業に…
全然違う部署に配属されても耐えられる?

最初から裁量を得たくてベンチャーに…
裏では資金繰り苦しくて数年で潰れるかもよ?

就活生が仮面をつけているように、企業も仮面をつけています。
自分は、やりたい業務があったので、業界が決まり、その専門部署に当初から配属される可能性が高いので今の会社を選びました。
1つは正解1つは間違い。
実際入社すると、自分の希望する業務は縮小傾向で社内ではあまりチャンスがなさそう。しかし、業界間の行き来が多いので早い段階から外の世界を考え始めています。
社会に出ると、学生からは見えなかった仮面がたくさん見えてきます。
本当は就職してからが「何者」かになるための苦闘の始まりなんでしょうね。
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何者 (新潮文庫)

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何様

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hiroki0412.hatenablog.com

*1:心理学的には外的な側面。古典劇の仮面に由来する言葉だそうです。ゲームのアレではありません。