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格安SIM(MVNO)はいいのか悪いのか:メリット/デメリットは?

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みなさんは、スマホの通信契約にどのキャリアを利用していますか?

ドコモ?auSoftBank

毎月の料金が高いと感じている人はいませんか。

最近、通信業界では、"MVNO"という言葉をよく耳にします。これは、「Mobile Virtual Network Operator=仮想通信移動体」の略称です。

巷では"格安スマホ"という表現で説明されることの方が多いですね。

私自身、MVNO契約に切り替えていることもあり、興味のある方からいろいろと質問を受けることが多いです。

そこで、MVNOのメリット/デメリットをまとめてみました。

こちらを読んで、まずは自身のニーズに合っているかどうかを確認してみてください。

 

 

そもそも MVNOとはなんなのか?

MVNOは、上述の通り「Mobile Virtual Network Operator=仮想通信移動体」の略称です。

これがなんなのかというと、基地局等の通信設備を持たず、各キャリア(ドコモ、auソフトバンク=MNO)から借り受けて事業を行う通信事業者を指します。

MVNO(Mobile Virtual Network Operator)って何?

引用:https://www.tosho-c3.jp/net/mvno-sim/

 

多くの事業者はドコモから通信帯域を借り受けて、サービスを提供しています。

通信設備の投資負担がない分、顧客の通信料金も安く設定されます。

 なお、「格安スマホ」という表現もほぼ同義ですが、この場合はY!mobileUQmobileを含んでいます。この2社は、auソフトバンク系列の「格安スマホ」としてサービス展開していますが、厳密にはMVNOではありません。

2社は、自社通信帯域を保有しており、自社の通信サービスとして提供しています

しかし、ユーザーからすれば、キャリアの高価なサービスとそれ以外という認識で問題ないため、そこまで意識する必要はないです。

 

MVNOにするメリット/デメリットは?

MVNOのメリット

①通信料金が安くなる

上述の通り、自社で通信設備を持たず通信帯域も借り受けて提供するビジネスモデルのため、その分投資コストが抑えられます。

結果として、顧客に提供する料金も安くなります。

MVNOを利用する一番のメリットはこの価格面だと思います。

通話をほとんどしない、動画や音楽も利用しないという方であれば、月額1,000円弱で済む場合もあります。 

 

②価格構成は積み上げ型

 MVNOの初期料金は、基本的に無駄を極限まで省いた通信のみとなっている場合が多いです。

www.ntt.com

参考にOCNモバイルONEの料金表を載せておきます。

どこもそうですが、通信と通話は別契約になることが多いです。

自分に必要な機能を積み上げていって価格が決まるので、不要な機能分の価格が入り込みにくくなります。

 

③無駄なアプリがない

キャリアで通信契約+端末購入を行った場合の地味なストレスポイントとして、個人的にはキャリア特有のアプリがプリインストールされてくる点があります。

しかも、アプリの中には削除できないものもあります。

MVNOであれば、端末は原則別売であり、端末に不要なアプリがインストールされている状態は回避できます。

 

④解約・契約変更がしやすい 

キャリア契約の場合、原則が2年契約であり端末を同時に割賦で購入することから2年以内に解約すると、解約手数料+割賦残債という重い負担が発生します*1

MVNOの場合、契約当初の1か月間の拘束期間はありますが、それ以降はいつでも解約可能です。また、各MVNO事業者からSIMフリー端末*2を購入することもできますが、いずれにしても自身で端末を調達することが必要なぶん、解約時の残債支払いなどの面倒はないです。

各社によって、通信制限等細かな設計が異なるため、使ってみて合わなければ改めて契約変更してみるのも簡単です。 

 

MVNOのデメリット

①通信が安定しない

MVNOは、帯域をキャリアから借り受けるというビジネスモデル上、通信が安定しません。各社のHPに通信速度の記載があり、速度を競っている節がありますが、どこでも共通しているのは、

・人の多いところに行くと速度が急激に落ちる(速度の遅い帯域にはじき出される)

・利用者の多い時間帯(オフィス街のお昼など)は速度が落ちる

といった点です。

 

②家族が多いと料金が割高になりうる

1契約で見た場合には、通信料金だけであれば劇的に下がると思っていただいて問題ありません。しかし、複雑なキャリア料金と比較した場合、ときに逆効果の場合もあります。

・最新機種など高価な端末を買った場合

キャリアの月額料金には端末料金が含まれており割引もあります。SIMフリー端末は、若干割高であることもあり、合計で考えると、実際は高くなっている可能性があります。

・家族が多い場合

キャリアの家族割は非常に効果的です。家族が3人以上いて、全員で同一キャリアを利用しているのであれば、MVNOに変更するメリットは薄い可能性が高いです*3

 

③端末料金が初期コストとして発生

上述の通り、MVNOの利用にはSIMフリー端末を用意する必要があります。どこで購入するかにもよりますし、どのレベルの端末を購入するかにもよりますが、割賦契約の対応がされていない場合、初期コストとして数万円発生することになります。

ただし、最近はSIMロック解除が依頼できるようになりましたので、これまで利用していた端末を使うのもアリです。

ちなみに、私は、アップルストアから直接SIMフリー端末を購入しています(割賦でも買えます)。

 

④基本的に手続きは自分で

これは、リテラシーの問題ですが、基本的な契約手続に始まりトラブル対応まで、基本的に自分で調べて対応をしなければなりません。

最近は家電量販店や路面店舗でMVNOを専門に扱うエリアも増えてきました。どうしても自分だけでは対応が難しい場合は、こういった店舗のスタッフさんに助けを求めるのも一考です。ただし、こういった店舗のスタッフは各MVNOの専属ではないことも多く、それぞれの細かな手続などには詳しくないことも少なくありません。

フルラインナップのサービスを求めるのであれば、素直にキャリアを選ぶのがよさそうです。

 

⑤小さな会社は信用不安も

 企業側からすると初期投資を少なく始められることなどもあり、MVNOサービス提供者は無数に存在します。MVNOの業界動向は、後で詳しく考えますが、もともと薄利多売のビジネスモデルであるところに、事業者が大挙して押し寄せたため、競争が激化しています。

今後は、小さな会社については、サービスの存続も危うくなってくるものと推測しています。他社への乗り換えは簡単とはいえ、いまやライフラインの1つとなったスマホ通信が一時的にでも停止することは避けるべき事態であると思います。

また、いくら初期投資が不要といっても契約者の増加に合わせて事業者側サーバの増設などの設備投資は随時発生します。そういった点でも、一定の資本力がなければサービスの質を維持できなくなります

その点では、一定程度の信用力(破たんの懸念が低い)のあるサービスを選ぶほうがよさそうです。

 

⑥LINEのID検索ができない

非常に地味なデメリットです。MVNO契約では、LINEの本人確認に必要なキャリアでの本人確認との整合チェックを満たせないため、ID検索ができません。

QRコードで事足りるんですが、MVNOを知らない人にこの事実を説明するのが結構面倒です。

 

おすすめのMVNOは?

MVNOを提供する企業は無数にあるのは、ここまででも言及してきました。

ここでは、その中でも①提供会社(信用力)②料金③通信の安定性④特徴からおすすすめを5社挙げておきます。

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・OCNモバイルONE

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NTTコミュニケーションズ(NTT子会社)が提供。紹介している中では、若干料金が高いです。しかし、固定通信をOCNで契約している場合、セットで割引になります。

また、050電話アプリが150円/月使えます。ただ、通信がポンコツなので使い物になりません。

通信速度は"遅い"となっていますが、webを見る程度であればそれほど気になりません。動画・音楽は苦しいです。

 

IIJmio

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ネットプロバイダーの老舗インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供しているMVNOです。ネットワークサービスの老舗なので通信に対する評価は高いほか、通話についても他社と比べかけ放題プランが充実しています。

 

楽天モバイル

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楽天が提供するMVNOサービス。利用者数は、かなり多いようですが、それに合わせた設備投資がされていないのか、通信速度の評判はあまりよくありません。

しかし、直近でプラスワンマーケティングのサービスを買収したほか、キャリア事業への参入も発表したため、携帯事業には本気のようです。

www.nikkei.com

楽天スーパーポイントが支払に利用できるため、楽天経済圏で消費する人にはおすすめです。

 

BIGLOBE

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もともとは、インターネットプロバイダだったBIGLOBEが提供。

BIGLOBEはファンドによるvalue-upを経て現在はKDDI傘下です。

特徴は、Youtubeなど特定のアプリを利用している間のパケットを消費カウントしない"エンタメフリープラン"です。動画や音楽など、パケットを食うコンテンツ系アプリをよく利用する方は一度チェックしていただきたいです。

 

・mineo

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ケイオプティコムによる提供。当社は関電の子会社です。珍しい電力系のMVNO

そして現状唯一のマルチキャリア対応MVNOです。

MVNOの多くは、ドコモから通信帯域を借り受けています。特にそれ自体が問題になることはありませんが、中古端末を購入する場合など、もともとau端末だったものは使えない場合がある、といったことがあり各社独自で動作確認を行っていました。

mineoの場合、docomo回線に加え、au回線のプランもあるので、もともとauユーザーでdocomoで現在の端末が使えるか不安な方は、auプランで契約することができます。

ソフトバンクユーザーの方は頑張ってください。

 

 

補足として、通信速度に関しては、実際に調査しているものが結構あります。

mobareco.jp

調査によって、ばらつきがあります*4が参考にしてみるとよいと思います。

 

今後MVNOはどうなるのか?

 MVNOは通信設備の初期投資がほぼ不要で事業を始められるため、利用者の認知度が高まっていくに従い、急激に事業者が増えました。

今ではサービス提供者は500社にも上ると言われています。

また、契約者数はエンドユーザーレベルで2016年12月には、819万契約にまで増加しています。

引用:ICT総研|市場調査・マーケティングカンパニー

 

また、総務省の調査によると、2016年のMVNO契約数1,485万契約は、移動通信契約(1億6,700万契約)の約8.9%まで成長しています。

www.soumu.go.jp

しかし、FREETELブランドでサービス提供していた、プラスワン・マーケティング楽天MVNO事業の譲渡を発表するなど、過当競争の様相を呈しています。

www.nikkei.com

 キャリアの攻勢が強まる一方であることも考えると、今後はより競争が激化し、事業者は淘汰されていくのでしょう。

ユーザーとしては、事業者の選別に注意が必要です。

 

また、サービス面では、料金一辺倒だった競争がより多様化してくると考えられます。

そのために重要なのが、①顧客管理システム(HLR/HSS)のアンバンドリング化②eSIMです。

 

 ①顧客管理システムのアンバンドリング化

これまで、MVNOに加入する場合であっても、実際のSIMカードは事業者が各キャリアから借り受けたものであり、顧客情報はキャリア側で管理(MVNO事業者も閲覧可能)していました。

顧客管理システム(HLR/HSS)をMVNO自身が保有することで、自社がSIMカードを発行し顧客情報の管理を行うことができます。

そうなると、例えば自社独自の通話サービスなど、サービスの幅が広がる可能性があります。

また、地味なデメリットだったLINEのID検索もおそらく可能になります。

www.itmedia.co.jp

 

②eSIMの提供

eSIM(Embedded Subscriber Identity Module)は、外部からのリモート操作で通信事業者の切り替えができる組み込み用SIMのことです。

eSIM化することで、より通信環境のよいキャリアに自動的に切り替えを行うなど、キャリアをまたいだサービスの可能性も開かれます。

simchange.jp

 

今後はIoT製品の増加も想定されており、通信の重要性は増すばかりです。

キャリアが独占する市場において、MVNOが存在感を増し、ユーザーにとってより良いサービスが生まれていけばよいなと思います。

*1:私がキャリアからMVNOに変更したのが約4年前であり、現在は契約内容が変わっているかもしれません。

*2:ャリアで購入できる端末には他社のSIMを挿入しても操作できない"SIMロック"がかけられています。そこで、当初キャリアからMVNOに変更するときには、SIMフリーの端末を調達する必要があります。最近では、キャリアに依頼することでSIMロックの解除を行うことができます。

SIMロック解除の手続き | お客様サポート | NTTドコモ

*3:キャリアの割引制度は非常に複雑であるため、一度店舗で確認してみてから変更を検討してみるほうが良いと思います。

*4:実際、OCNモバイルONEは相対的に"遅い"分類ですが利用していて、そこまでフラストレーション溜まることはないです。昼時とか人が多いと終わってます。