最後にこれだけは言わせて欲しい

ダラダラ出来なくなった金融マンの遺言

過労で初めて病院に行った

過労で初めて病院に行った。

過去にも社内で噂の上司にあたり、ブチギレた上司から資料が飛んできたり、毎日のように夜21時頃から1時間ほどご指導を食らったり、酒好きで毎日酒に付き合いながらも翌日は若手である自分は7時には会社にいないといけなかったり、日帰り出張先の飲み屋でガンガン酒を飲まされ飛行機でトイレから出られなくなったり、色々なことはあったがまあとりあえずメンタルも体調もそれほど大きく崩さずにやってきた。

 

3日ほど前から調子がおかしかった。元々朝が弱く起きてもずっと眠いのだが、この日はそれに輪をかけて頭がぼーっとしていた。

仕事が立て込んでいたので、週末ではあるものの作業をしていたが、夕方ぐらいまではほぼ布団と往復で作業が進まなかった。

それが1日ほど続いたあと、さらに悪化し起き上がっていると頭のぼんやりした感じと若干の吐き気で、起きているのがしんどくなってしまった。PCも見ていられない。

流石に仕事にならないものの仕事も立て込んでおり、気づいたら22時。すぐに病院にも行けないので、上司に体調不良であることだけを連絡しあらゆる方面からの連絡を無視してベッドに倒れ込んだ。

 

翌朝病院に行って検査してもらったが、結局原因はよく分からず。「ストレスでしょうね」ということで過労による内耳の変調だろうという結論になった。よくわからない薬をたくさんもらった。

 

上司に報告したところ、これまでやってもやっても減らないと思っていた作業が綺麗に回収されて私の眼前から消えていた。

結局私ががむしゃらになってやっていたことも周りの人間がサクサクと消化しており、改めて組織の中の歯車は1つなくても大きな問題なく動き続けるのだと実感している。

 

果たして私は何をしたいのか?この組織で何を貢献できているのか?

 

少しクリアになった頭で考えるのはこのことばかり。

 

 

余白

李禹煥展が非常に良かったという話。

 

国立新美術館李禹煥展が開催されている。

国立新美術館開館15周年記念 李禹煥|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

 

 

随分前に直島に行ったことがあり、李禹煥美術館を訪れた際の絵画作品の記憶が強く残っていたためフラフラと訪れてみた。

李禹煥美術館 | アート・建築をみる | ベネッセアートサイト直島

李禹煥はモノ派の活動において中心的な役割を担ってきた芸術家である(らしい。今回初めてちゃんと知った)。

 

彼の作品には、原材料をそのまま配置したような「関係項」のシリーズと筆により少数のタッチで線または点を描いた「点より」「線より」シリーズがある。

『点より』

出所:李禹煥展HP

 

特に、李は空間と物との関係性や描かれた部分と余白との関係性を重視しており、置かれた物やキャンパスの中の筆のタッチと、何も存在しない余白との関係性についてしばしば言及される。

私が李禹煥美術館を訪れて以来特に気に入っていたのは絵画作品のほう。

李の絵画作品は、初期の作品こそキャンパスいっぱいの点が描かれていたりダイナミックな動きがあったりもするが、時代を経るごとにその数も動きも少なくなっていき、最近の作品では点一つだけといったものが多い。にも関わらず、その一筆と余白がせめぎ合うような強い力のようなものを感じるのだから不思議なものである。

物事はそれそのものとしてのみで独立して存在するのではなく、常に外界にも何らかの影響を与えながら存在しているという思想には、何とも言えないなじみ深さのようなものがある。李が日本で哲学を学んでいたという背景に鑑みると、我々自身が自然と身に着けている東洋的な思想の一端なのかもしれない。

 

ところで、日常の生活を送る中で「余白」に注意を向けることがどの程度あるだろうか。

PPTで作成した資料に無駄な余白があるとそれは作成途中かいまいちな出来の資料だし、時間の余白は何か予定で埋めたくなる。余白は、通常無駄なものであり不要なものである。だが、李の作品では、余白があるからこそ李の作為が際立ち、その意味を表出している。余白は無意味なものではなく、対比の関係性において重要な意味を持つ。

事象の区別は特徴の差異によるが、彫刻や絵画はまさに抽象化された記号でありそういった観点で見ると、余白は記号表現を際立たせる差異を表出していると言えるかもしれない。

 

なお、本展覧会のオーディオガイドは中谷美紀が担当している。李の作品は極端に作者としての作為が削られているため、その意味を理解する上ではオーディオガイドを聞くのが有用だと思われる。無料*1なので、ぜひ聞いてみてもらいたい。

 

 

 

*1:スマホで聞く形式なので、イヤホンを持っているほうが良い